脱原発は争点ではない。だから細川氏の人気は高まらない。 

学習院大学法学部教授の遠藤薫氏は今回の都知事選について、脱原発が争点のはずなのに、脱原発に関しては最有力の細川氏ではなく、舛添氏の人気のほうが高いと述べている。

私としては、脱原発は争点ではなく、だからこそ細川氏への人気が高まらないのだと申し上げたい。

「脱原発」はほんとうに争点なのか――トリックアートとしての都知事選
遠藤薫:学習院大学法学部教授(社会学)

http://politas.jp/articles/57


筆者の結論は、筆者が1月22日に独自に行なった「0122調査」をもとに導かれているが、端的に言えば調査そのものが誤っている。

まずは調査結果について見てみよう。「0122調査」では「原発に対する方針」がトップとされているが、これは報道各社による調査結果とは異なっている。共同通信、朝日新聞の調査では、ともに「原発・エネルギー問題」は三番目である。
http://www.47news.jp/47topics/e/250003.php
http://www.asahi.com/articles/DA3S10959277.html
数字を見ると、「0122調査」では「原発に対する方針」が15%超の得票を占めており、この数字自体は報道各社の数字と大差ない。おそらくそれなりに正しいのだろう。しかし順位が異なる。 こうした差が出た原因としては、サンプルに問題があるというよりも、そもそも設問に問題がある可能性が高い。

設問の問題点として、選択肢の抽象度がそれぞれ大きく異なる。原発・エネルギー問題が「原発に対する方針」として一括されているのに対し、福祉に関する選択肢は「医療・介護」「教育・子育て」「雇用・貧困対策」として分散している。また、景気に関する選択肢は「経済活性化」と「雇用・貧困対策」「都市計画政策」に分散しており、災害対策も「地震対策」「水害などの自然災害に対する対策」「社会インフラ老朽化」に分散している。他方で、雇用対策と貧困対策という、同一視できないものが一括されていたり、築地移転問題という(ほぼ議論の終わった)問題も含まれていたりもする。これでは、都民の価値観を測ることは難しい。

さらに言えば、最も重視するのはなにかという設問に対して「特にない」が20%という最大得票を得ていることにも着目したい。これはつまり被験者の意見を汲みきれていないということであり、質問票自体の設計ミスが疑われる。

このように調査そのものに誤りがあったため、「原発が最大の関心事」との誤った結論を導いてしまったのである。そうなれば、誤った調査結果からは的外れな分析しかできない。筆者自身も薄々自覚しており、第四節で「ぱっと見、図2より図3の方が違和感はない。その分、インパクトもない。いかにも当たり前である」とまで言ってしまっている。ここまで感じたら先に自分の調査結果を疑うべきではないか。

細川氏の脱原発焦点化戦略の効果について、筆者は以下のように述べている。

```
選挙戦中盤までの世論調査では、舛添大幅リードはあまり変わっていないようだ。
ということは、有権者は、案外こうしたトリックアートを見抜いていて、細川(小泉)戦略に載せられず、どっちに転んでも「無難」な選択として舛添候補を選んでいるのかもしれない。
```

いやいや、そんな根拠のない仮説が突然出てくるとは。脱原発が争点ではないから、図3のほうが自然に見えるし、有権者も舛添氏を選んでいる、と考えるほうがよほど自然ではないか。自民党時代に厚労大臣を務めた実績が評価され、景気・雇用・福祉政策に期待されていると見るのが自然ではないか。

遠藤氏は、もう少し自らの調査に疑問を持つべきであろう。

Noriaki Horiuchi / この投稿の説得力:55%

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