経済的に譲歩して、対アジアで外交優位を築こうとする日本政府:オバマ大統領来日 



4月23日に、オバマ大統領が来日することになっている。今回は「国賓」としての訪問である。アメリカ大統領の国賓訪日は1996年6月のビル・クリントン以来18年ぶりとのことだから、その実現に尽力した関係者の感慨もひとしおに違いない。今回はこの「国賓待遇来日」の意味ともたらす影響について考察したい。

そもそも「訪問」の意味合いとしては、形式的には「良好な関係の演出」、実務的には「協力関係の構築・深化」がある。昨年秋以来日本側はアメリカ政府に対し、ワシントンにある日本大使館を通じて、オバマ大統領に国賓として2泊3日の日程で日本を訪問するよう働きかけていた。
国賓待遇とはその最も上級の扱いということであるから、日本としてはオバマ大統領に国賓待遇での来日を受け入れさせることによって「良好な日米関係」を演出したいということがわかる。良好な日米関係を内外に示したい理由としては、国内的には経済の活性化についてアピールすること、国外には中国や韓国に対する牽制することが考えられる。菅義偉官房長官も常々、安倍政権にとって景気・経済の安定が最重要課題であると同時に日米同盟関係を磐石にすることが不可欠だと語っている。いまの懸案は米国が軍事的影響力を低下させた「その後」をどうするかであるため、後者の意味合いが大きいだろう。また、オバマ大統領の訪日を機に、さまざまな経済的な課題を解決し、日米の協力関係を深化させたいという話もあろう。

要するに、両国間にまたがる様々な問題を一気に解決する機会を作るのが訪問の目的である。
さて、前提条件を確認したところで、今回の訪問による「取引」を列挙してみよう。

・ミシェル夫人は今回の日程に同伴しないうえに、オバマ大統領は迎賓館に泊まらない。

・天皇陛下との会見(皇居にて)、安部総理との日米首脳会談、共同記者会見、天皇・皇后陛下主催の晩餐会
・「日米インナー会合」
・北朝鮮による日本人拉致被害者の家族会との面会
・オバマ大統領の訪韓(25日)における、韓国朴槿恵大統領に対する「日韓関係の早期修復」の要求

・TPP 牛肉の関税維持もひと桁台後半へ(妥結せず。日豪EPAでは牛肉関税(冷蔵肉23.5%、冷凍肉19.5%)なのに対する大幅譲歩)
・政府専用機としてボーイング777採用

日本側が今回の訪問に際して準備した「プレゼント」は次の通り。
・「『河野談話』を見直すことは考えていない」という、安倍総理の参院予算委員会での発言(3月14日)
・ハーグでの核安全保障サミット終了後に行われた、安倍総理とオバマ大統領との間に設けられた「ハプニング会談」(TPP関係での譲歩を示唆?)

こうしてみると、経済的に譲歩してまで米国との良好な(軍事的)関係を築きたいという日本政府の姿が垣間見えるのである。


参考記事
オバマ大統領「国賓」なのに迎賓館宿泊せず 異例の対応…日程も難航 MSN産経 2014.4.17 05:00 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140417/plc14041705000001-n1.htm
国賓来日オバマ大統領「極秘会談」2人目の出席者は「谷内」か「菅」か(現代ビジネス 2014年04月19日(土)歳川隆雄)http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39014
オバマ大統領「国賓として」来日の見返りはTPP交渉で「対米牛肉関税一桁台」現代ビジネス 2014年04月12日(土) http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38931
オバマ大統領「国賓での来日」の見返りはTPP交渉で「牛肉関税引き下げ」現代ビジネス 2014年04月05日(土) 歳川 隆雄 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38877

牛肉関税「9%以上」…TPPで日米歩み寄り(YOMIURI ONLINE)2014年04月20日 03時00分 http://www.yomiuri.co.jp/economy/20140419-OYT1T50182.html?from=ytop_top
譲らぬ日米、交渉5日で30時間 TPP関税協議 (日経電子版)2014/4/19 1:03 http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1804F_Y4A410C1EA1000/

Noriaki Horiuchi / この投稿の説得力:50%

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